矢崎総業の「Innovation Hub – REN(錬)」公開、ヒューマノイドとフィジカルAIで工場改革を加速

3行解説
- 矢崎総業が静岡県裾野市のY-CITYで「Innovation Hub – REN(錬)」を公開しました。
- ヒューマノイド実証、熟練作業の記録、遠隔操作、在庫最適化を同時に進めます。
- 2029年に向け、データを軸にしたスマートファクトリー化を目指しています。
矢崎総業の「REN」で何を試しているのか
2026年7月22日、矢崎総業グループは静岡県裾野市の研究開発・管理拠点「Y-CITY」で、新拠点「Innovation Hub – REN(錬)」を公開しました。会場では、ヒューマノイドロボットの検証や、作業者の動きを記録する仕組み、遠隔操作のデモ、在庫最適化の取り組みが紹介されました。
同社は、自動車用ワイヤーハーネスの製造を支える現場を持ち、2029年に向けてデータドリブンなスマートファクトリーへ変える方針です。現時点では、ピッキング、部品セット、設備との連携など、単純で繰り返しの多い作業から実証を始めています。熟練技能のように、状況を見て細かく動きを変える作業は、まだロボットだけでは難しいとしています。
そのため、現役の熟練技能者の動作をカメラやセンサーで記録し、「熟練データ」としてためています。遠隔操作のデモでは、端子圧着工程でロボットが止まった場面を想定し、通信端末とゲーム用コントローラーで現場外から復旧やティーチングを行いました。さらに、首や肩、肘の動きをAIで追い、身体への負担を数値化する仕組みも検証しています。FACTORY Xとの協業では、在庫戦略モデルを使った在庫最適化や、ISData Platformによるデータ管理も進めています。
「人の強さ」を残しながら自動化を進める意味
今回の「Innovation Hub – REN(錬)」で目立つのは、矢崎総業がロボットを人の代わりではなく、人の技を残すための道具として置いている点です。特に、ワイヤーハーネスのように作業のばらつきが大きい現場では、いきなり全面自動化を狙うより、まずは単純作業をロボットに任せ、熟練者の動きをデータとして残す進め方が現実的です。
また、遠隔操作や身体負荷の見える化は、工場で働く人の条件を広げる意味もあります。現場に行けない人でも仕事に関われるなら、採用や配置の考え方も変わります。矢崎総業のように、製造・在庫・人の動きを一体で見直す流れは、部品点数が多い組立現場や、技能者の確保が難しい工場ほど参考になりそうです。
RENが示す、工場DXの進め方
| 項目 | 矢崎総業の現在地 | 2029年に向けた狙い |
|---|---|---|
| 自動化の対象 | 単純・反復作業から開始 | 熟練作業へ拡大 |
| データの扱い | 熟練動作を記録・蓄積 | 技能再現の基盤に活用 |
| 現場支援 | 遠隔操作や負荷可視化を検証 | 人に優しい工場へ発展 |
| 管理手法 | FACTORY Xと在庫最適化 | 計画と運用を柔軟化 |
矢崎総業の事例は、ヒューマノイドやフィジカルAIを「置き換え」ではなく「現場の力を伸ばす道具」として使う考え方を示しています。こうした動きは業界全体で広がっており、自社の工程に合う形を見極める視点が欠かせません。
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出典: ロボスタ


