操舵なしでドリフトする四輪車、左右トルク差だけで姿勢を制御する新手法
公開日:2026年7月30日

操舵なしでドリフトする四輪車、左右トルク差だけで姿勢を制御する新手法

操舵なしでドリフトする四輪車、左右トルク差だけで姿勢を制御する新手法

3行解説

  • Sheng Zhao氏らが、四輪独立駆動車のドリフト制御手法を発表しました。
  • 左右の車輪トルク差だけで、操舵なしの横滑り走行を実現します。
  • 1/10スケール車で、約20度の横すべり角と8の字追従を確認しました。

ニュースの概要

2026年7月26日、Sheng Zhao氏らの研究チームは、四輪独立駆動車に向けた「Steeringless Drifting: Differential-Torque Control of a Four-Wheel Independently Driven Vehicle」をarXivで公開しました。対象は、ハンドルで向きを変える従来車ではなく、4つの車輪をそれぞれ独立して駆動できる車両です。

論文では、左右の車輪トルク差を使って車体の向きを変える考え方を示しています。まず、四輪の差動駆動を組み込んだ二軌モデルを作り、その上でドリフトのつり合いを求める計算方法と、閉ループ制御器を設計しました。閉ループ制御とは、車の動きを見ながら、その場で制御を調整するやり方です。

検証はシミュレーションと1/10スケール車で行われました。結果として、車両は約20度の横すべり角で安定した円形ドリフトを行い、8の字の軌跡も追従できました。研究チームは、操舵機構を使わずに車輪トルクだけでドリフト制御できる可能性を示しています。

操舵なしのドリフト制御は何を変えるのか

この研究の面白さは、ハンドルを切る代わりに、4つの車輪の力の差だけで車体を振る点にあります。車輪ごとに力を変えると、車はまるでスケート靴で体重移動するように向きを変えます。移動ロボットや自律走行車では、狭い場所での姿勢づくりや、滑りやすい路面での安定化に応用の余地があります。

特に、四輪独立駆動のような構成は、機械的な操舵部品を減らしつつ、動きの自由度を増やせるのが強みです。今回のように、1/10スケール車で約20度の横すべり角と8の字追従まで確かめた点は、単なる理論ではなく、実機で動く制御として示した意味が大きいです。今後は、速度域や路面条件が変わったときに、どこまで安定して再現できるかが焦点になります。

【解説】四輪独立駆動のドリフト制御は、どこで生きる?

この手法は、見た目の派手さだけでなく、低速での向き直しや、限られたスペースでの姿勢制御に向いています。たとえば、倉庫内を走る搬送車や、研究用の移動ロボットでは、前後左右の移動だけでなく、車体を思い通りの角度に保つことが役立ちます。操舵機構に頼らないため、設計の考え方も少し変わります。

ただし、実際の現場では、タイヤの摩耗や床材の違いが動きに影響します。だからこそ、こうした制御は「どの車両にもそのまま入れる」より、まずは限定した条件で試すのが現実的です。車輪トルクを細かく使う発想は、移動ロボットの自由度を広げる一歩として見ておくと分かりやすいでしょう。

車輪ごとのトルクを細かく使う制御は、移動ロボットの動き方を広げる考え方として注目できます。こうした近限界制御の進化は、業界全体で着実に進んでいます。

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出典: arXiv Robotics(cs.RO)