日立ハイテクとパウレック、全固体電池のコーティング条件をフィジカルAIで最適化
公開日:2026年8月21日

日立ハイテクとパウレック、全固体電池のコーティング条件をフィジカルAIで最適化

日立ハイテクとパウレック、全固体電池のコーティング条件をフィジカルAIで最適化

3行解説

  • 日立ハイテクとパウレックが、全固体電池のコーティング実証を完了しました。
  • XRFやSEMで膜厚や被覆の状態を測り、条件探索をデータ化しました。
  • 熟練者の勘に頼りがちだった工程を、AIで探す仕組みに変える狙いです。

日立ハイテクとパウレックが進めた実証の中身

株式会社日立ハイテクは2026年8月20日、株式会社パウレックと共同で、全固体電池の正極活物質表面へのコーティングプロセスをフィジカルAIで最適化する実証を完了したと発表しました。両社は、技術と計測データを組み合わせ、事業化に向けた協創を進めるとしています。

全固体電池は、燃えにくい固体電解質を使う次世代電池です。安全性の向上に加え、電池の高性能化や長寿命化が期待されています。ただ、実用化には課題もあります。正極の活物質と固体電解質の境目に抵抗が生じると、出力が落ちます。そのため、正極活物質の表面にリチウム伝導性の酸化物被膜をつくる必要がありますが、膜厚や被覆の均一さをそろえる条件探しは簡単ではありません。

今回の実証では、パウレックが流動層コーティングで作成したサンプルを、日立ハイテクのXRFやSEMで評価しました。XRFは元素の種類や量を調べる装置で、SEMは表面を細かく見る電子顕微鏡です。両社は、膜厚、被覆均一性、界面特性を定量的に見ながら、材料特性と電池性能の関係を整理しました。日立グループのAI・インフォマティクス技術を組み合わせた「PROACCELA」も活用しています。

フィジカルAIが電池材料の現場で意味を持つ理由

今回のポイントは、AIが画面の中だけで答えを出すのではなく、実際の試作と計測を回しながら条件を詰めている点です。日立ハイテクの分析技術と、パウレックの粉体処理技術が組み合わさることで、材料開発の「試して、測って、また直す」という流れが速くなります。特に全固体電池のように、少しの条件差が性能に響く分野では、この差が大きくなります。

日立ハイテクは今回の実証内容を、製造業向けソリューション「HMAX Industry」として提供する方針です。研究開発から量産までをつなぐ「Lab to Fab」の考え方も示されました。電池材料だけでなく、粉体やコーティングを扱う現場では、経験者の頭の中にあった判断をデータに置き換える流れが、今後の標準になっていく可能性があります。

【解説】日立ハイテクのHMAX Industryはどこで効くのか

この実証は、量産前の試作段階で特に力を発揮しそうです。全固体電池のように、条件のわずかな違いで結果が変わる工程では、XRFやSEMで測った結果をAIに戻し、次の条件を絞る流れが有効です。パウレックの流動層コーティングのような粉体プロセスにも合っています。

見方を変えると、これは「熟練者の勘を残しつつ、再現しやすい形にする」取り組みです。電池材料に限らず、コーティングや混合のような工程を持つ企業ほど、まずは小さな範囲でデータ化を進める価値があります。現場の暗黙知をどう残すかが、次の競争力になりそうです。

全固体電池のように、材料づくりの段階からデータで条件を詰める流れは、製造現場全体で広がりつつあります。自社の工程でも、経験頼みになっている作業がないか見直すきっかけにしてみてください。

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出典: ロボスタ